生物多様性とは
BIODIVERSITY


生物多様性とは
「生物多様性」とは、個性豊かな生きものたちが、様々な環境の中で互いの個性を活かしながらつながりあっている状態を指します。これには「生態系」、「種」、「遺伝子」という3つのレベルがあります。たくさんの種類の生きものがいること、豊かな環境があること、同じ種でも個性があること、そのすべてが生物多様性です。

生きもののつながり(出典:東京都環境局「東京都生物多様性地域戦略」P5)

3つのレベルの生物多様性(出典:東京都環境局「東京都生物多様性地域戦略」P6)
生物多様性は、地球上の人間を含む多様な生命の歴史の中でつくられたかけがえのないもので、生活に欠かせない恵みを与えてくれます。生物多様性の恵みは、「生態系サービス」と呼ばれ、「供給」「調整」「文化的」「基盤」の4つに分類されます。私たちが豊かな生活を営むためには、生態系サービスが不可欠です。生物多様性によって、これらの生態系サービスが安定的に提供されているのです。

供給サービス
食料、木材、水、薬品など、暮らしに必要となる資源を供給する機能

調整サービス
気候の調整や大雨被害の軽減、水質の浄化など、健康で安全に生活する環境をもたらす機能

文化的サービス
自然に触れることにより得られる文化的ひらめき、心身の安らぎなど、精神を豊かにする機能


基盤サービス
光合成による酸素の生成、土壌形成、栄養循環など、人間を含めた全ての生命の生存基盤となり、上記3つのサービスを支える機能
4つの生態系サービス(東京都環境局「東京都生物多様性地域戦略」p8)を元に作成
生物多様性が
抱える課題
生物多様性は今、主に4つの危機に直面しています。
第1の危機:人間活動による影響
・開発による森林伐採、農地や干潟・浅場などの減少
・人間活動の消費・調達を通じた、世界の森林・水産資源等への影響
第2の危機:自然に対する働きかけの縮小による影響
・雑木林や農耕地の管理放棄による生態系バランスの悪化(生息・生育環境の変化で生きものが減少するなど)
・狩猟者の減少等による、ニホンジカなどの増加と、それに伴う食害
第3の危機:人により持ち込まれたものによる影響
・外来種による在来種の捕食や生態系への影響
・海洋プラスチックごみや化学物質による生きものや自然環境への影響
第4の危機:地球環境の変化による影響
・気温上昇による生きものの分布変化や絶滅リスクの増加
東京都の
生物多様性とは
東京は、本土部から小笠原諸島にかけて南北約1,700kmに及び、高低差は2,000メートル以上あり、亜寒帯(雲取山周辺)から亜熱帯(小笠原諸島)・熱帯(沖ノ鳥島)まで、幅広い気候帯が存在しています。公園などの緑地が整備された都心部、屋敷林や田畑が残る住宅地、生物多様性の宝庫である里山や雑木林、天然林も残る山間部や特徴的な自然環境・生態系を有する島しょ部など、東京には豊かな自然環境があり、多様で豊かな生態系が残されています。

東京の垂直方向の広がり、雲取山から東京港までの断面図(イメージ)(出典:東京都環境局「東京都生物多様性地域戦略」P25)

東京都の地形図(出典:東京都環境局「東京都生物多様性地域戦略」P26、27)※地形図は「標準地図、陰影起伏図」(国土地理院)(https://maps.gsi.go.jp/vector/#8/35.970227/139.730988/&ls=hillshade1% 2C0.3%7Cvstd2&disp=11&d=l)を基に東京都作成
山地では、雲取山周辺やその稜線部など、原生林に近い天然林が広がっており、それよりも標高が低い地域では、スギ・ヒノキなどの人工林が大きな面積を占めています。こうした環境に、ツキノワグマなどの大型哺乳類や猛禽類などが生息しています。また、奥多摩には各地に石灰岩体が露出した岩塊が点在し、石灰岩に特有の植物や陸産貝類、コウモリ類が生息・生育しています。
丘陵地は、緑の減少幅が大きいものの、過去に薪炭林として利用・管理されていたクヌギ・コナラなどの雑木林を主体とした樹林が広がっています。昔ながらの景観を有する谷戸地形には、湧水や谷戸田の存在により多様な生きものが生息・生育する貴重な生態系が残されています。
台地には住宅地が広がる中、公園・緑地が配置され、農地・樹林地が点在し、河川・用水、崖線、街路樹など線状のみどりが分布しています。また、屋敷林・農地・雑木林・用水などが一体となった環境や、武家屋敷由来の庭園や社寺林など、歴史あるみどりも残されています。台地東部には高度な都市機能が集約する中、皇居や明治神宮などの大規模緑地や企業など民有の緑地があります。
低地には、台地と同様に市街化が進む中、水元公園や浜離宮恩賜庭園などの大規模緑地のほか、農地・樹林地・屋敷林が点在しています。大河川や運河が多く、河川敷や埋立てにより創出された公園が多数存在します。また、臨海部には創出された干潟や砂浜があります。
島しょ部は、海洋島で偶発的に運ばれてきた生きものの子孫が隔離された状態で長期間かけて固有種に進化するなどにより、希少種が多数存在し、島ごとに特徴的な生態系が形成されています。伊豆諸島の植物の分布は、伊豆半島などフォッサマグナ地域の南部と共通する特徴を有しながらも、島独自の生態系を有しています。 また、小笠原諸島は、陸産貝類など数多くの固有種が存在し、その生態系が評価され世界自然遺産に登録されているほか、原生的な自然を有する無人島も存在します。
東京の生物多様性の観点から重要な地域
東京には、世界自然遺産に登録された小笠原諸島や、ラムサール条約湿地に登録された葛西海浜公園、原生自然環境保全地域に指定された南硫黄島など、法令で指定された、生物多様性の観点から重要な地域が多くあります。


