東京都の
生物多様性保全の
取組

EFFORTS FOR CONSERVATION OF BIODIVERSITY

東京都
生物多様性地域戦略

東京都は2023年4月、「東京都生物多様性地域戦略」を改定・公表しました。この戦略では「自然と共生する豊かな社会を目指し、あらゆる主体が連携して生物多様性の保全と持続可能な利用を進めることにより、生物多様性を回復軌道に乗せる(=ネイチャーポジティブの実現)」を2030年の目標に掲げています。目標達成のために、様々な主体が取組を進めていくうえでの3つの基本戦略と10の行動方針を示しています。さらに、東京都の取組を整理した「東京都生物多様性地域戦略アクションプラン」を毎年度策定し、ネイチャーポジティブの実現に向けた取組を強化・推進しています。

2030年に生物多様性の損失を止め、2050年に回復を目指す「ネイチャーポジティブ」のイメージ図

ネイチャーポジティブ実現のイメージ(出典:東京都環境局「東京都生物多様性地域戦略」P20)
「自然と共生する豊かな社会」を目指し、生物多様性を回復軌道に乗せる(ネイチャーポジティブ)ための取り組みが進められています。

保全地域制度

丘陵地の里山をはじめ、都内に残る貴重な自然を守るため、「保全地域」の指定を進め、保護と回復を図っています。現在51地域(令和7年12月現在)、約761haが指定されています。
都は、この保全地域の指定・公有化面積を2050年までに約1,000haへ拡大する目標を掲げています。目標達成には土地所有者や地元自治体、周辺住民の理解が不可欠です。ドローンやAIなども活用して緑地の効果を「見える化」し、新規指定・公有化を加速していきます。

市街地における
みどりの保全・創出

東京の緑は、減少傾向にあるものの、都はあらゆる機会を捉えた緑の創出等の取組を推進しており、その一つとして緑化計画書制度などに基づき、都市開発の際の緑の創出を推進しています。また、一定水準以上の在来種植栽を実施している緑地を登録する制度も設けています。登録された緑地にはシンボルマークが付与され、ホームページで公開されます。

希少な野生動植物の
保全と外来種対策

東京では「東京都レッドリスト(保護上重要な野生生物種)」に、本土部で1,846種、島しょ部で1,244種が選定されています。しかし、そのうちすでに本土部で209種、島しょ部で51種が絶滅しています。これ以上、希少な生きものを絶滅させないため、2025年3月策定の「保護上重要な野生生物の戦略的保全方針」に基づき、保護上重要な野生生物の「種」と「生態系」それぞれに着目した保全や、外来種対策の実践促進に取り組んでいます。

外来種対策

アライグマやアメリカザリガニなど、国内外から持ち込まれた外来種による生態系被害が問題となっています。都は都内で生態系に被害を及ぼし、優先的に対策をするべき「外来種対策リスト」と、リストの効果的な活用や実効性のある対策や行動を後押しする「外来種対策行動の手引き」を策定し、対策を進めています。伊豆大島のキョン対策も、防除実施計画に基づき根絶に向けた取組を推進していきます。

ツキノワグマ対策

東京のツキノワグマは準絶滅危惧種で保護対象ですが、人里への出没抑制も必要です。都は、生息実態の把握やバッファーゾーン創出により、捕獲を最小限にしつつ、目撃情報を「TOKYOくまっぷ」で公表し、都民の安全・安心につなげています。

“TOKYOくまっぷQRコード”

TOKYOくまっぷ

自然公園

東京には3つの国立公園、1つの国定公園、6つの都立自然公園があります。都は東京都レンジャーを配置し、自然公園における自然の保護と適正な利用・管理を推進しています。
また、周辺の自然の情報を展示・解説し、公園の利用案内を行うビジターセンターや、自然に親しむレクリエーション活動を行う都民の森、宿泊施設を備えた海のふるさと村や山のふるさと村などを整備しています。

Tokyo-NbS
アクションの推進

自然の持つ機能を活用し、防災・減災や都市環境の改善といった社会的課題を解決する「NbS (Nature-based Solutions)」(例えば、森林の保水機能による洪水リスク軽減や、公園・緑地によるヒートアイランド現象の緩和など)を推進しています。
東京都は、生物多様性の恵みを持続的に利用し、都民生活の質の向上に活かすため、NbSに取り組む「Tokyo-NbSアクションメンバー」を募集し、「Tokyo-NbSアクション」を推進しています。

自然環境情報の
収集・発信等

都内の生物多様性保全・回復には網羅的な情報が必要であり、市民科学の力が重要です。都は、AI搭載アプリなどを活用し、多くの都民が手軽に参加できる野生生物の情報収集・蓄積事業を展開しています。

デジタル版野生生物目録「東京いきもの台帳」

市民科学や標本、文献などの情報をもとに、過去から現在までに「いつ・どこに・どんないきものが生息・生育していたか」という網羅的な生物情報をデータベース化し、誰もが検索できるWebシステムです。
専門家による監修のもと、2024年にトンボ目録、2025年5月にクモ・セミ目録、12月に植物の標本情報を公開しました。
今後も情報を追加・更新していきます。

自然環境デジタルミュージアム

東京の生物多様性情報を集約するとともに、自然の魅力をデジタル技術で発信する「自然環境デジタルミュージアム」の検討を進めています。先行して「東京ネイチャースコープ」や「多摩川360°ツアー」など、行動を促すデジタルコンテンツも発信しています。

生物多様性の
人材育成

生物多様性の保全と回復を進め、その恵みを持続的に利用するためには、都民をはじめとした各主体が、東京の生物多様性の成り立ちや価値、今ある現状を正しく認識し、理解と関心を深めていくことが欠かせません。
都民一人ひとりが、生物多様性の価値を認識し、生物多様性を自分事として捉えることができるようにするため、生物多様性に関する普及啓発の充実を図っています。
都内で気軽に生きもの観察、自然体験等ができる場所やイベントの普及啓発を積極的に行っています。また、都内の様々な自然地や生物多様性について学ぶことのできる施設などを活用し、自然環境教育や自然体験活動を促進しています。

水環境の保全

生物多様性の保全には、水環境の保全も不可欠です。東京湾や河川等の総合的な水環境の状況を把握するために、東京湾調査及び東京都内湾水生生物調査等の取組を実施しています。

東京グリーンビズの
推進

東京都では、都民や企業の皆様など様々な方々とともに、緑を未来に継承していくため、100年先を見据えた緑のプロジェクト「東京グリーンビズ」を推進しています。
その一環として、農地・屋敷林等の保全や、東京の緑溢れるスポットなどを発信する東京グリーンビズマップの公開、グリーンインフラの導入など、様々な取組を進めています。こうした東京の緑を「まもる」「育てる」「活かす」取組を通じて、「自然と調和した持続可能な都市」へと進化させていきます。