国の生物多様性保全の取組
EFFORTS FOR CONSERVATION OF BIODIVERSITY


生物多様性基本法
生物多様性基本法は、生物多様性を保全しつつ持続可能に利用するための施策を、総合的かつ計画的に推進することで、豊かな生物多様性を保全し、その恵みを将来にわたって享受できる「自然と共生する社会」の実現を目的としています。この法律は平成20年5月に成立し、同年6月に施行されました。本基本法では、生物多様性の保全と利用に関する基本原則や、生物多様性国家戦略の策定、白書の作成、国が取り組むべき13の基本的施策など、日本の生物多様性施策を進めるための基本的な考え方が示されています。また、国だけでなく、地方公共団体、事業者、国民や民間団体の役割や責務、さらに都道府県や市町村による生物多様性地域戦略の策定が努力義務として定められています。
生物多様性国家戦略
日本では、2008年に施行された生物多様性基本法に基づき、2023年3月に「生物多様性国家戦略2023-2030」が閣議決定されました。生物多様性国家戦略は、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する国の基本計画で、1995年の初策定以降、5回の見直しが行われています。最新の国家戦略では、2050年のビジョンとして「自然と共生する社会」を掲げ、2030年に向けて「ネイチャーポジティブ(自然再興)の実現」を目指しています。この戦略では、生物多様性や自然資本を守り活用することで、地球の持続可能性を支え、人々の安全保障を強化することを目指しています。

国家戦略が
目指すもの
この戦略では、2030年までに「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させること(ネイチャーポジティブ)」ことを目指し、5つの基本戦略を定めています。国家戦略が描く2030年の社会では、自然を守り活かす取り組みが進み、人と生きものが共に暮らしています。
5つの基本戦略
基本戦略1~4は互いに連携し、基本戦略5はこれらの取り組みを支える重要な土台となります。

5つの基本戦略(出典:国の取り組み | ネイチャーポジティブポータル(環境省))
地域生物多様性
増進法
生物多様性については、2022年に新たな世界目標として「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、2030年までに「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させること」、いわゆるネイチャーポジティブが掲げられました。日本でも、過去50年間生物多様性の損失が続いている中でこれを改善するためには、国立公園などの保護地域の保全に加え、自然共生サイトでの活動など企業等が行う生物多様性の維持、回復または創出につながる活動を促進することが不可欠です。
地域生物多様性増進法は、ネイチャーポジティブの実現を目指し、増進活動実施計画や連携増進活動実施計画について主務大臣が認定する仕組みや、市町村、連携活動実施者、土地所有者が締結できる生物多様性維持協定などを規定しています。これらの措置を通じて、企業等による生物多様性を増進する取り組みを後押しするものです。
ネイチャー
ポジティブ
ネイチャーポジティブとは、日本語で「自然再興」を意味し、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させること」を指します。現在の地球では、過去1,000万年間の平均と比べて10倍から100倍の速さで生物が絶滅しているなど、深刻な「マイナスの状態」にあります。この状況から、従来の自然環境保全の取り組みだけでなく、経済、社会、政治、技術といった全てにまたがって改善を促し、自然が豊かになる「プラスの状態」を目指すのがネイチャーポジティブの考え方です。
この考え方は、2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)や、G7の「2030年自然協約」などでも掲げられる、国際的な認知度も高まっています。国内では、2023年3月に閣議決定された「生物多様性国家戦略2023-2030」において、2030年までにネイチャーポジティブを達成する目標が掲げられています。この2030年は、温室効果ガス削減目標やSDGs(持続可能な開発目標)、パリ協定など、様々な分野の目標年でもあります。
また、陸と海のそれぞれで30%以上の面積で健全な生態系を保全する「30by30目標」を含め、2030年にネイチャーポジティブを実現するためには、個人や団体を問わず、全ての人が連携して取り組む必要があります。
30by30
いわゆる「30by30(サーティ・バイ・サーティ)目標」とは、2030年までに陸地と海洋の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標です。この目標は、2022年に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」において、2030年グローバルターゲットの1つとして明確に位置付けられました。
日本では、「生物多様性国家戦略2023-2030」で、2030年までにネイチャーポジティブ(自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させること)を実現するための目標の一つとして、30by30目標を位置付けています。
30by30目標は、国立公園などの保護地域の拡充と管理の質の向上に加え、保護地域以外で生物多様性保全に貢献する地域(OECM:Other Effective area-based Conservation Measures)の設定や管理を通して達成していくことになります。また、目標の達成には国の取組を推進するだけでなく、民間による取組等によって生物多様性保全が図られている区域を拡大していくことも重要です。
自然共生サイト
環境省では、令和5年度から「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を「自然共生サイト」として認定しています。また、令和7年4月には「自然共生サイト」を法的に位置付ける新たな法律「地域生物多様性増進法」が施行されました。
これに伴い、令和5年度および令和6年度に認定された自然共生サイトに加え、令和7年度以降は、この法律に基づいて認定された実施計画の実施区域も「自然共生サイト」となります。